ティンガティンガ・アート <タンザニア>

tam-tam2005-12-22

建築材料のハード・ファイバーボード(繊維板)にエナメル・ペイントで、鮮やかな色彩を使って独特な動物のモチーフを描いた、タンザニアの絵画。1960年代に、エドワード・サイディ・ティンガティンガ(1932-1972)によって始められました。現在は、ハードボードの代わりに、木枠に張った、キャンバスほど厚くはない布に描き、完成後に外して売られることが多くなっています。

E. S. ティンガティンガは、モザンビークとの国境に近い、南部のトゥンドゥル地方生まれ。50年代に北のケニア国境に近いタンガに向かい、サイザル麻のプランテーションで働いたあと、ダルエスサラームでイギリス人官吏の使用人となりました。仕事の合間に、音楽のグループで活動したあと、独学で動物画を描くようになりました。その絵がヨーロッパからの観光客に売れるようになり、親類をはじめ弟子が集まってきました。彼らは模倣することで絵を学んでいきました。没後、弟子たちが共同工房を作り、現在もそこを拠点に、数十名のアーティストによって描かれています。

写真は、Samora作。布に描かれた絵を、日本で、発泡スチロールを使ってドライマウント加工をしています。

tam-tam2005-11-21


ヴァリハと同じく、もともとは宗教儀式で「生者たちの世界と死者たちの世界の仲介となっている」(サンクプラネット制作のCD『マロヴァニー−モンジャ』より)楽器ですが、コンサートなどでも演奏されています。


マダガスカルの竹の生えない地域で、共鳴体が細長い木の箱になったそうです。幅の広い2面に弦が張られ、穴が間の1面にあけられています。穴の面を体に向け、ひもを首にかけて演奏します。サイズや形はさまざまで、大きいものは細長い面を下にするように置いて奏でます。弦の数も異なってきて、この楽器は、左右とも10弦。1つの弦に2つ(ヴァリハも同じ)はさまれている木片によって調音します。


箱の大きさは、61cm×16 cm×8 cm

tam-tam2005-11-01


アフリカ大陸の南東の島国、マダガスカルで演奏される、竹の筒でできた弦楽器です。CD『マダガスカルの竪琴〜郷愁のヴァリハ』(キング・レコード)のライナーノートに鈴木ひろゆきさんが書かれた説明によると、弦は自転車のブレーキのワイヤーをほぐしたものを使用。昔は、竹筒の皮を切って浮き上がらせた弦を使っていました。通常は18弦で、竹の太さによって16弦から24弦まであるそうです。


穴のあいた側を手前に、まん中から右にド、左にレ、交互に奥にいくと高くなります。スチール弦の下にひょうたんの小片がはさんであり、これを動かして調音します(写真のヴァリハは3弦で1音になっていて、3×16弦と中心に1弦)。
演奏方法は、右ももにのせるか、両足のももではさみ、左右の人差し指と親指の4本の指でつま弾きます。


10世紀ごろまでに、インド洋を越えて移住してきたマレー系やインドネシア系の人々が竹文化を持ち込んだと考えられていて、インドネシアをはじめ東南アジアにも竹筒琴があります。


直径約6.5cm×長さ109cm


*追記
ヴァリハは、祖先への祈りを伝えるために使われてきましたが、現在では、宗教的な意味を離れても演奏されています。

tam-tam2005-10-19


教会の壁や写本に描かれた絵画を写真にとり、印刷したカード。


上・右−ティグレ州にある岩窟教会の中で、到達するのがもっとも困難というアブナ・イマータ教会の天井の壁画(15世紀ごろ)。描かれているのは、十二使徒のうち8人にキリストの弟、ヤコブを加えた9人。<HTRT>
下・左−ゴンダールのデブレ・ブラハン・セラシエ教会(17世紀建造)の天井の天使像。<エチオピア観光委員会>
野町和嘉写真集「神よ、エチオピアよ」の文章を参考にしました。


下・中−天使ガブリエルがマリアにキリスト受胎を告げている絵。ティグレ(14世紀)。
下・右−漁師の網からサカナを放す聖ジョージ。ティグレ(18世紀)。
撮影 Jacques Mercier & Girma Elias <「Ethio-EU」の「エチオピア正教会の至宝保護プロジェクト」>


上・左−キリストの変容。ゴジャムにある写本(17世紀)から。<国立博物館アディスアベバ)>


ティグレ州はエチオピアの北西部にあり、隣国エリトリアと接しています。その南、アムハラ州にあるタナ湖の北がゴンダール、南にゴジャム地方。この湖は、青ナイルの水源とされています。


15cm×10.5cm

tam-tam2005-09-21


イコンは、板に描かれたキリスト教の聖画。英語の読みは「アイコン」で、コンピュータの絵柄の記号と同じです。

エチオピアは、キリスト教が伝わったのが4世紀という長い歴史がある国です(現在は国民の約半数、イスラム教徒が4割ぐらいといわれています)。

キリスト教には、カトリック教会とプロテスタント、そしてギリシャ、ロシアなどに広まる東方正教会という主な教派のほかに、5世紀に異端とされた教派があり、エチオピア正教会もそのひとつです。東方正教会でも、イコンが「神への祈りの媒体」とされています。

このイコンは、観音開きになっていて、扉と裏面には、上部と同じエチオピアの十字架のような図柄が彫られています。書かれた文字は、エチオピア独自のアムハラ文字。

16.5cm×14cm(扉を閉めた状態)。

tam-tam2005-09-08


エチオピアの「カファ」地方が、コーヒーの語源とか発祥の地とかいわれています(エチオピアでの呼び方は「ブンナ」)。アラブ商人が持ち帰り、中東で飲まれるようになったのが、16世紀。そこからヨーロッパなどさまざまな地域に広がっていきました。

エチオピア式コーヒーの入れ方は、乾燥したコーヒー豆を水洗いして、褐色になるまでいり、木のうすときねですりつぶします。土製のポットに沸かしておいた湯に注ぎ、沸いたらカスを沈殿させて、コーヒー用の小さなテーブルに並べた、小さなカップに注ぎます。さらに水を入れ、三度まで沸かして入れます。

写真のカップは、多くの家庭で使われている中国製の磁器。直径7.5cm、高さ5cm。
テーブルは5個分の浅い穴をあけた木彫り。24cm×34cm、高さ10 cm。

輸入の相手国で、中国はイタリアに次ぐ2位です(3位は米国)(2000−01年度)。輸出のほうは、ドイツ、日本、イタリアの順。輸出品のトップは、コーヒーです。