tam-tam2005-08-09


スカラベとは、ファーブルの『昆虫記』で名高いタマオシコガネ(フンコロガシ)のこと。動物のフンをまるめて転がすその姿を、古代エジプト人は太陽の運行をつかさどる神の化身と見て、護符にしました。

4000年前からさかんに作られたスカラベの護符や装飾品は、エジプト各地から出土して世界中の博物館に並べられています(この夏、東京では、東京都美術館ルーヴル美術館所蔵、大丸美術館ではドイツ・ヒルデスハイム博物館所蔵、と2か所で「古代エジプト展」が開かれています)。

護符としての意味だけでなく、第18王朝(紀元前1567−1304)のアメンホテプ3世は、重要なできごとを彫った記念のスカラベを多数発行。オランダ国立ライデン美術館所蔵の展覧会の図録にある「アメンホテプ3世の記念スカラブ」(紀元前1400年ごろ。長さ8cm)の裏面に記されているのは、ライオン狩りの成功。「記念メダル」の先駆けといえます。

巨大なモニュメントのスカラベもありますが、普通大きさは1〜12cmほどで、その材質はさまざまな硬質の石、貴石から、金や銀と多彩。

写真の複製は、陶器製で2.5cm。ひもを通す穴があいています。左は出土品風に見せるためか、土台には釉がかかっていません。